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何故砂糖を使わないのか?

 自然な甘味は最もバランスが取れたもので、人類の食事において最も重要な味です。栄養学的に言うと、自然な甘味は複合炭水化物を含む食品によって供給されます。複合炭水化物は、肉体と精神の毎日の活動に必要なエネルギー源をもたらしてくれます。伝統的には、全粒穀物・野菜・豆類・海藻・種子・ナッツなどに含まれる自然な甘味がたくさんあるバランスの取れた毎日の食事によって、主にこのエネルギーが補給されてきました。ところが現代では、食事に自然な甘さの食べ物が少なくなり、砂糖を入れたり甘いものを食べたりして、甘味の強い食品がこのまれるようになりました。なぜ強い甘味のものにひかれるのかというと、全粒穀物中心の伝統食が、近代化により動物性食品中心の現代食に変わってしまったためです。動物性食品は、収縮性・締める働きの強い、極陽性のものなので、拡散性・ゆるめる働きの強い、極陰性のものである甘味の強い食べ物・飲物に引かれるのです。さらに動物性食品には炭水化物が含まれていないので、バランスをとるために、単純炭水化物という形で濃縮された炭水化物源の摂取が必要になるのです。ところが、単純炭水化物は極陰性なので、複合炭水化物と比較すると、身体と心に与える影響は大きな相違があり、毎日のように大量に摂っていると、やがて様々な健康上の問題を引き起こしてしまいます。この問題をよりよく理解するために、砂糖の歴史的背景、毎日砂糖を消費することがどのような影響を与えるのか見てみましょう。

砂糖の歴史と身体と心に与える影響

 歴史を振り返ってみると、砂糖の存在をほとんど知らない人が人類の圧倒的大多数であったにもかかわらず、今では砂糖が甘味料として欠かせないものになり、多くの食べ物に砂糖が加えられ、誰もが口にする食品になりました。サトウキビの原産地は東南アジアですが、5世紀ごろにインド・東南アジア諸国に広まりました。7世紀までには、中国・中東に達し、アラブ人がサトウキビを加工して精製する方法を最初に研究して発展させ、輸送・貿易・長期保存が可能になったのです。11世紀から14世紀になると、砂糖が熱帯・亜熱帯の気候から輸入され、ヨーロッパで手に入るようになりました。ところが、砂糖の身体に与える衝撃は非常に強かったので、何世紀もの間、強い薬として薬屋が鍵にかけて保存され、病気治療のために貴重な薬剤として使用されただけでした。やがて15世紀から16世紀頃サトウキビはアメリカ大陸に持ち込まれ、理想的な栽培条件の土地が限りなく広がったので、サトウキブの生産がアメリカで大きく発展しました。17世紀までには、サトウキビはヨーロッパに大量に流入し、デザート・キャンディー作りが大きく発展する道が開かれました。伝統的にヨーロッパでは、果物、ドライフルーツ、砂糖なしの果物のジャム・シロップ、麦飴(麦芽に水を加え甘くなるまで発酵させ、シロップ状に煮詰まめたもので、ビール職人によって昔から作られていた)を使ってデザートが作られていました。砂糖が一般に広く浸透したのは、20世紀になってソフトドリンク・ファーストフード・お菓子が発展し、近代食品産業がありとあらゆる加工食品・飲料に砂糖をしようするようになってからのことです。ジョンホプキンズ大学のシドニー・W・ミンツ考古学教授は、著書「甘味と権力」の中で、近代史に占める砂糖の地位を解説しています。英国では、18世紀の間に、国民一人当たりの砂糖摂取量は2kgから9kgに増えました。1840年には20kgに増加し、現在では砂糖の年間消費量は62kgになっています。1900年から1970年の間に、世界の砂糖の生産量は500%から800%も上昇していて、世界の食品カロリーのほぼ10%が砂糖の形で消費されています。日本の場合は、暑い地域で栽培されたサトウキビで作られた黒砂糖が、平安・鎌倉・室町時代から伝わっていましたが、貴族・上流階級の口にしか入らず、それも調味料としてよりも薬やぜいたくな嗜好品として珍重されていたので、砂糖の摂取はごく少量の非常に限られたものでした。ところが明治時代になると、日本政府によって台湾に製糖業が起こされ、初めて本格的な製糖が可能になり、徐々に一般庶民にも砂糖が手に入るようになりました。現在では、日本の砂糖の消費量は、他の先進諸国と同様に、年間で60kgになっています。
 現代の砂糖の製法は、次のようなものです。まずサトウキビの茎を細かく切断して砕き、圧縮して絞り汁を集めます。搾り出された汁は灰色・暗緑色の不透明なものなので、水で洗い流す精澄操作を行い、透明な汁にします。これを集め蒸発させて濃縮してシロップのような濃厚な液を作ります。この濃厚液を真空結晶かんに移し、さらに加熱して濃縮させて結晶させます。これを遠心分離機にかけて、結晶と糖蜜に分けます。濃縮工程によって取り出された結晶は、黄色・赤褐色の粗糖・原料糖と呼ばれるもので、このまま消費するのには適していません。製糖工場では、粗糖を脱色・再結晶させて精製糖にします。砂糖の結晶は、石灰または燐酸を加え、加熱してろ過することによって精澄にします。次に骨炭(牛骨炭、または他の動物の骨炭)あるいは活性炭を用いて、ろ過・精澄化します。そして工業薬品を使って製造されるイオン交換樹脂を通して脱色とカルシウム・マグネシウム塩を除去します。精製・加工する前の原料糖には、14%の蔗糖(単純炭水化物・カルシウム・マグネシウム・リン・鉄・カリウム・ビタミンE・ビタミンB・チアミン(ビタミンB1)・リボフラビン(ビタミンB2)・ナイアシン(ニコチン酸)などの栄養素、銅・鉄・マンガン・亜鉛などのミネラルが含まれます。ところが精製された白砂糖になると99.5%が結晶化した純粋の蔗糖であり、栄養価はほとんど全部失われています。このため砂糖は「中身のないカロリー」と言われるのです。
 砂糖が個人の健康に与える影響は、今や広く知られています。砂糖の害を日常生活に結び付けて明確に理解するために、糖質・糖分とも呼ばれる炭水化物の果たす役割を見てみましょう。炭水化物は、単純炭水化物(単糖類)と複合炭水化物(多糖類)の二つに大きく分かれます。単純炭水化物(単糖類)は、果物(果糖)・牛乳(乳糖)・ハチミツ(ブドウ糖)・砂糖(蔗糖)などの強い甘味料など、甘味の強い様々な食品に含まれています。複合炭水化物(多糖類)は、全粒穀物・野菜・海藻・豆類・種子・ナッツその他の食品など、穏やかな自然の甘味のある食べ物に含まれています。正常な消化の過程においては、複合炭水化物は、口の唾液・胃の胃液・膵臓の膵液・腸の腸液に含まれる様々な酵素によって、ほぼ一定の速度に徐々に分解されて消化されます。複合炭水化物(多糖類)は、消化器で小さい単位(単糖類)に分解されてから、ゆっくりと血液に入りますので、なめらかで均一な持続性のあるエネルギーを供給してくれます。その過程では、血液のpHは弱アルカリ性に保たれます。対照的に、単純炭水化物は急速に代謝が行われ、すぐに血流に入り、血液を酸性過多にしてしまいます。この陰性の非常に強い状態の埋め合わせをするために、膵臓は陽性のホルモンであるインスリンを分泌します。インスリンは、血液中の過剰な糖分を除去して、身体の細胞に糖を進入させる働きがあります。ブドウ糖(炭水化物の代謝の最終生産物)が酸化し、二酸化炭素と水が老廃物として放出される時に、エネルギーの爆発が起ります。例えば糖尿病は、バランスの悪い食べ方を何年も続けたために、過剰な血糖を中和するのに十分なインスリンを、膵臓が分泌できない病気です。砂糖の摂りすぎによる、この血糖のバランスの崩れとエネルギーの爆発は、現代社会で多くの人に影響を与えている、異常な社会的行動・凶悪犯罪・記憶力低下・集中力のなさ・注意力散漫・子供の落ち着きのなさ・精神病・心の病気と関連しています。
 血流に入る糖の多くは、必要になるまでは肝臓でグリコーゲンという形で貯蔵され、必要に応じて再びブドウ糖に変えられて血液中に送り出されます。グリコーゲンの量が、肝臓の貯蔵能力約50gを超えると、脂肪酸の形で血流に放出されます。この脂肪酸は、最初は臀部(お尻)・大腿部(太もも)・腹部(お腹)などの身体の活動的でない部分に貯まり、遂には肥満に繋がります。身体は蓄積された糖分と脂肪を皮膚から排泄しようとするので、この段階でアトピーや皮膚アレルギーが出ることがあります。そのまま単純炭水化物を摂り続ければ、やがて臓器が弱って正常に機能しなくなります。
 もう一つの問題は、単糖類の身体を弱くする働きを帳消しにするために、体内に貯蔵されていたミネラルが動員される時に起ります。例えば、キャンディー・ソフトドリンク・砂糖たっぷりのデザートを食べ過ぎるとバランスを取るために、歯からカルシウムが奪われ、虫歯など歯の問題が生じます。また、骨からカルシウムが奪われると、骨が細くなって骨密度が低くなり、骨折、骨粗しょう症につながります。三温糖・洗双等・粗製等・グラニュー糖・ブドウ糖・ニュートラスイート・サッカリン・ソルビトール・果糖・アスパルテーム・水飴など、現代使用されている砂糖に似た強い甘味料・人工甘味料のほとんどは単糖類が多く、精製されているか、工業的・化学的に加工されていますので、砂糖と同じ問題、似たような病気を引き起こします。

上手な甘味の摂り方

伝統的にデザート・甘味の強い食品は、全粒穀物・野菜・豆類などの自然な食べ方を基本にした食生活を維持している社会によって、ときどき食べられてきました。マクロビオティック食事法では、人類が太古の昔から楽しんできた食べ物の自然な甘味を復活させるように、より伝統的な料理法・食べ方に戻していくようにしています。味覚のズレ・狂いが修正され、正常な感覚・味覚を徐々に取り戻してくると、穏やかな味の甘さを好むようになり、強い甘味への欲求は自然に少なくなっていきます。季節の地元産の果物は、ときどき少量楽しむ程度に。全粒穀物・豆類・種子・ナッツ・海藻・果物に、米飴・玄米甘酒・てんさい糖などの自然な未精製甘味料で甘味をつけて作った様々なデザートもときどき楽しむ位で十分満たされるようになります。

さて、皆さん、砂糖の浅い歴史、そして私達の身体に与える影響ご理解いただけたでしょうか?出来れば白砂糖は台所から無くしましょうね!黒砂糖と言えども、やはり熱帯地域に住んでいない人には、身体に与える影響は強いので、避けた方が良いと思います。

コメント
なるほど〜(-_-)

大まかには理解しているつもりでしたが、理解が深まりました(^O^)
五行のくだりも、かなり知りたかった事なのでありがたい(^^ゞ

やっぱりもっと勉強しないと〜(>_<)
『何となく』が、『ちゃんと』に変われるような年にしたいです!
  • 土屋
  • 2012/01/10 7:01 PM
土屋さん、いつも読んでくれてありがとう。そしてしっかりコメントくれてありがとう!励まされます!もっともっと皆さんの役に立つ情報を発信していきたいと願っています。出来れば、一緒に実践していきたいので、可能になったらお店にもまたいらしてくださいね。お待ちしています!
  • MAGNOLIA
  • 2012/01/11 8:28 AM
いつもブログ楽しみにしています。
砂糖の年間消費量の多さにビックリしています! 私もスイーツをなかなか止めれませんが、マグノリアに通うようになり 自然な甘みのランチやスイーツにハマっています。
私もこれからも色々学んで子どもに自然の甘みを伝えられるよう頑張ります。よろしくお願いしますm(__)m
  • Chuji
  • 2012/01/11 10:26 PM
これは、マグノリアに一番近いところで働かれているWさんですね!いつも有難うございます。この記事を読むと「砂糖って怖〜い!」と思ってしまうかもしれませんが、本当に身体に与える影響は強いので、減らせるなら減らした方がいいですよね。これからも一緒に学ばせてくださいね。またお店でお待ちしています!
  • MAGNOLIA
  • 2012/01/12 8:08 AM
子どもたちの異変を、いろいろ方がいろいろなな角度から検証していますが、私も食べるものが大きな原因になっていると思います。
砂糖の害についても、ここまで長文で書いてくれる人がいないので、よほど興味を持って専門書を紐解く人しか知りえないことを、教えてくださってありがとうございました。
お店がもっと近かったらいいのに!
まだ何度かしか行ったことがありませんが、体に良いものが入ってきた、という満足感をいつもいただいています!
  • メリッサ
  • 2012/08/29 12:50 AM
メリッサさん、コメント有り難うございます。この記事は久司道夫先生の文献を元に書かせて頂いています。ご興味ある場合は久司先生の著作を是非お読み下さい。私の人生を変えたと言っても過言ではない、様々な分野の科学的に検証されたデータに基づいて、食の重要性を語って下さっています。またお店でお待ちしていますね。
  • MAGNOLIA
  • 2012/08/29 9:28 PM
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